年金についての素朴な疑問

若くて元気に働けたときに納めたお金を老後に受け取って、収入がなくなってしまっても、まずまずの生活が維持できるように備えておくしくみが、年金、ってやつですよね。難しいことはよくわからないけど、おおざっぱにいうと、そんな感じだと思います。この年金制度が、日本ではいま危機的な状況になっています。このことについて、いくつか疑問があります。もしこのブログをお読みで、年金制度に詳しい方がいらしたら、サルにもわかるように答えてくださったらうれしいです。

第一の疑問は、「世代間扶助」っていう原則についてです。

年金って、納めた人と受け取る人が別人ですよね。若い世代が、年老いた世代の人たちを助ける。社会道徳としてはよく理解できますが、年金を、「老人に電車の座席を譲りましょう」みたいな運動と同列にとらえるとしたら、それはちょっと無理があるんじゃないでしょうか。特に、少子高齢化が進み、各世代の人口がアンバランスになってくると、誰が考えても、そのことは即、年金の需給の不均衡にむすびついてしまいます。だったら、具体的に言えば、1960年に生まれた人が納めたお金は1960年に生まれた人の老後のために使う、というようにしたほうがずっと合理的な気がします。そうすれば、少子化に歯止めがかからず納める世代の人口が減っても(今後の出生率が予想困難だったとしても)、将来、年金を受け取る人間の数も少ないわけですから、両世代の人口の多少は問題にならないはずですよね。年金制度において「世代間扶助」の原則をつらぬく理由は、このような単純で算数的な考えを超えた、もっと別なところにあるのでしょうか?

第二の疑問は、年金の納入状況が知らされないのなぜか、ということです。

昨夜、国会は大騒ぎだったようです。新聞を読むと、その焦点になっていた政府の法案には、年金の納入状況を「ある一定の年齢に達した人に連絡する」という条項があるようです。でも、5000万件ある行方不明の年金の持ち主を探すためには、まずは今すぐ、全ての年金納入者にその納入記録を報告するべきだと思います。「調べたい人は社会保険事務所で調べられますよ」って状況じゃないんじゃないですか? それをやらないのは、コストが問題だからでしょうか? でも、窓口に行けばすぐに提示できるデータなら、プリントアウトして各人に送付しても、そんなに時間はかからないんじゃないですか? 以前、地元の社会保険事務所に行ったことがありますが、たくさんの職員さんがいましたから、その気にさえなれば、人員的には問題はないように思えます。
社会保険庁は、納入記録はインターネットでも簡単に紹介できますよ、と言っていますが、そのためのサイトって、これでしょうか?
年金加入記録照会・年金見込額試算・年金個人情報提供サービス
簡単ですか、これ?

第三の疑問は、問題の原因をつくった人たちに対するペナルティについてです。

複数の金融機関に定期預金をしている人はたくさんいます。なんらかの理由で、そうした人の預金を、ひとつのデータで一括管理することになりました。ところが、その作業の最中に、預金者の氏名や住所や生年月日などの個人情報を誤って入力したために、誰の預金だったかわからなくなってしまったお金が宙に浮いてしまった。原本も破棄してしまいました。もし、そんなことが起こったら、そのミスにかかわった金融機関や個人は、ただではすまないですよね。社会的制裁だけじゃなく、法的な制裁だって加えられるんじゃないですか?
社会保険庁は解体されるそうですが、問題の原因をつくった職員たちはどうなるんですか? 新しい機関(解体じゃないじゃん)に雇用されるんですか? それとも、どこか別のお役所に移動するんですか? ペナルティはなにもないんですか?
もしそうだったら、納得いかないな。自分が毎日ちいさな伝票1枚に神経をすり減らしながら働いている身だから、余計、そう思います。

それにしても、日本人って、おとなしいですよね。これだけのことが起こっても、社会保険事務所のガラス1枚割られない。別に、事務所を襲撃せよ、なんて言ってるわけじゃありませんよ。でも、こんなオソマツな不祥事が起きたことはもちろん、暴動のひとつも起こらない日本という国は、海外の人たちの目には奇異に映るんじゃないでしょうか。もし、「へぇ、日本人って、こんな連中なんだ」、「こいつら、なにをやっても腹をたてないぞ」なんてナメられちゃったら、ヘンなところで嫌な影響も出てきそうな気がします。考えすぎでしょうか?