日米「家出ソング」選
グアム島で元日本兵の横井さんが見つかり、札幌オリンピックが開かれ、お茶の間の目が浅間山荘での攻防に釘付けになり、川端康成が自殺し、沖縄が日本に返還され、赤軍がテルアビブ空港で大暴れし、田中角栄が日本列島改造論をぶち上げ、ニクソンがウォーターゲート事件で失脚し、ミュンヘン五輪が血に染まり、上野にパンダがやって来て、アメリカが北爆を再開したその年、昭和47年、こんなアルバムが発売され、当時中学生だった私は、高校生の姉さんがいる同級生の家で何回かそれを聞きました。
- アーティスト: 小椋佳,小野崎孝輔
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2003/03/19
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (3件) を見る
家出少年(青年)のための教科書、のようなもの、もありましたね。
- 作者: 寺山修司
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (61件) を見る
一転、アメリカの大衆文化の中に、「家出」がどんなふうに登場してくるのか探してみると、あんまり見当たらないような気がします。思春期の少年が成長してゆく過程や、その時の悩みや葛藤みたいなものをテーマにした作品は山ほどありますが、親から離れることへの罪の意識みたいなものをあつかったものは思い当たりません。
そんな中、真っ先に思い浮かんだ家出ソングがあります。ボブ・ディランの『くよくよするなよ』です。1963年に発表された『フリーホイーリン』というアルバムに入っていました。ディランの中では、間違いなく一番好きな歌です。
- アーティスト: Bob Dylan
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2004/06/01
- メディア: CD
- 購入: 5人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
先日YouTubeで、この『くよくよするなよ』を歌っている青年のビデオを見つけました。もしかしたら案外若くて、少年、と呼んだほうがよいくらいの年頃なのかもしれません。暗い部屋でビデオを自身でセットし、ギターとハーモニカを手に歌う自分を正面からでなく斜から写すあたりに、彼の内面的な薄暗さが表れていて、たいへん気に入りました。
■"Don't Think Twice It's Alright" Justin Hillという青年
ね、いいでしょ、この人。友だちにしたいタイプではありませんが、年がら年中いつでもニコニコ笑ってるような人よりは信用できそうです。
せっかくディランの名前が出てきたのにこれだけでは物足りないので、最後に、同じくYouTubeで見つけたクリップをご紹介したいと思います。テロップ付きですので、ディランといっしょに歌ってみてください!
■"Subterranean Homesick Blues" Bob Dylan